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2010年7月3日
日本司法書士政治連盟関東ブロック協議会 第11回 定時総会

■ 「 法務局が危ない! 」

 平成22年7月3日宇都宮ホテルニューイタヤに於いて、日本司法書士政治連盟関東ブロック協議会第11回定時総会が開催されました。その際、東京政連から提案された下記議案が満場一致をもって決議されました。 法務局の一部の地方への移管は、司法書士制度の存亡にも関わる問題であり、絶対に阻止しなければならない問題です。重要な政治課題として、反対活動を進めてまいりますので、会員各位のご協力ご支援の程よろしくお願いいたします。


 議案の名称

『「各種登記事務」、「司法書士に対する指導、司法書士会の会則の認可に関する事務等」など法務局の民事行政部及び人権擁護部の事務・権限の地方への移管に反対する決議案』承認の件


決       議


 日本司法書士政治連盟関東ブロック協議会は、「各種登記事務」、「司法書士に対する指導、司法書士会の会則の認可に関する事務等」など法務局の民事行政部及び人権擁護部の事務・権限の地方への移管に反対することを決議する。


以  上

提 案 理 由


 2010年3月、全国知事会「国の出先機関原則廃止プロジェクトチーム」の中間報告において、法務局の14の事務・権限のうち下記の9事務は地方に移管すべき事務であるとの仕分け結果を発表した。

    【 民事行政部 】
      ・ 公証に関する事務(公証人の指導監督等)
      ・ 市町村が実施する戸籍事務に関する助言、勧告、指示等
      ・ 国籍に関する事務(帰化に関する事務、届出による国籍取得に関する事務、国籍離脱に関する事務等)
      ・ 各種供託事務(弁済供託、執行供託等)
      ・ 各種登記事務(不動産登記、商業・法人登記等)
      ・ 司法書士に対する指導、司法書士会の会則の認可に関する事務等
      ・ 土地家屋調査士に対する指導、土地家屋調査士会の会則の認可に関する事務等
    【 人権擁護部 】
      ・ 人権擁護に関する事務(人権擁護委員の委嘱に関する事務等、人権侵害事件に係る調査・救済・予防等)
    【 総 務 部 】
      ・ 内部管理事務(地方移譲に係るもの)

 さらに、廃止・民営化等する事務として「司法書士試験等に関する事務」「土地家屋調査士試験等に関する事務」の2つの事務を仕分けし、国に残すべき事務として「国の利害に関係のある訴訟に関する事務」「総合法律支援に関する事務(法テラスに対する立ち入り検査等)」「上記事務の執行に関する内部管理事務」のみを仕分けしている。
 「各種登記事務」、「司法書士に対する指導、司法書士会の会則の認可に関する事務等」など法務局の民事行政部及び人権擁護部の事務・権限の地方への移管には次の理由により反対する。

 1. 国家の三要素である「領土」・「国民」・「主権」に関わる基本制度を適正に運用することは、国の責務であり、国が担うべき役割である。
 法務局の所掌事務である登記のうち、不動産登記は国土の権利関係を確定し明記するという役割があり、商業・法人登記は会社・法人に人格を与え、国家の構成要素の一つになる。
 登記は、不動産や法人を法的に管理し、取引や経済活動の基盤を形成し、金融や不動産取引の円滑な運営を支えるとともに、徴税などの国家政策の基盤となっているものであり、資本主義経済の基礎をなす私有財産制度を支える重要なインフラであることから、その管理及び運営は、国が自らの責任において行うべきである。
 また、人権擁護については、国連決議で採択された「国内機構の地位に関する原則(パリ原則)」で、人権擁護を国レベルで行うものと規定されている。
 さらに、国籍に関する事務は国家の主権に直接関係するものであり、供託事務も準司法的な事務として裁判手続や執行手続に直接関与するなど司法制度と密接な関係を有するものである。

2.法務局の事務・権限は、その性質上、地域ごとに取り扱いが異なることが絶対に許されないものであって、全国統一的な運用が特に強く要請される。

3.法務局の事務・権限は、現在、地方公共団体が行っている選挙事務、パスポートの発給や生活保護の認定などとは異なり、いずれも高度な法的判断を伴う準司法的な事務等であり、高度な法的判断を伴う事務・権限を正確かつ迅速に行うためには、高度な法律知識と専門的能力を有する職員が必要である。統一基準の作成やバックアップシステムにより地方自治体が行えるものではない。

4.法務局は、本省である法務省の指示に従って事務を行う執行機関ではなく、それぞれの局が法的判断を行う専門機関として機能している。特に、登記官や供託官は、本省から個別の指示を受けることなく、自らの判断で法的判断を行う独任の国家機関である。そのため、法務局では、職員に対する各種研修や日常業務を通じたOJTの継続実施とともに、全国規模で広域人事異動を行い、幅広い多種多様な事件処理を経験させ、全国各地で行政サービスの質を一定水準以上に保っている。

5.地方公共団体において、高い法的素養を有し、多岐にわたる関連法令の解釈運用に精通する専門職員を継続的に養成し、維持し続けることは、地方公共団体に大きな負担となる。法務局職員を受け入れて対応するとしても、全国規模での広域人事異動を行えないことから、全国規模の幅広い多種多様な事件処理を経験することができず、職員の専門性に地域間格差が生じ、全国各地で行政サービスの質を一定水準以上に保ち続けることはできず、行政サービスの質の低下により、国民の利便性が著しく損なわれる。

6.地方自治体は、地方税の滞納者の不動産に対し差押え等の登記嘱託をする当事者となることがある。したがって、地方自治体が登記事務を担うことは公正さと中立性を欠くことになる。

7.司法書士に対する指導等は法務局の事務・権限として法文上明定されていない。昭和25年に改正された司法書士法では司法書士に対する監督規定は削除された。現行法では司法書士に対する指導は司法書士会が行うものとされている。したがって、司法書士に対する指導は地方移管する事務・権限の対象とすべきではない。


 よって、日本司法書士政治連盟関東ブロック協議会が「各種登記事務」、「司法書士に対する指導、司法書士会の会則の認可に関する事務等」など法務局の民事行政部及び人権擁護部の事務・権限の地方への移管に反対することを求めるために本議案を提出する。


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